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その頃ハートは

置き去りにされた
所から
かなり離れた場所に居た…
毎日ベランダから
眺めた風景を
思い浮かべ
太陽の向きが
同じ方向へ歩いた…
詩織ちゃんの家には
もう戻れない事は
わかっていた…
それでも身体は
住み慣れた家を
目指して
歩いていった…
暗くなっても
休まずに歩き
小さな女の子の声が
聞こえる家の前では
思わず立ち止まってしまった…
ふと我に返り
また歩き出し…
朝になり…
どのくらい歩いたのだろう…
一軒の家から
靴のかかとを
踏みながら
大きな声で
「行ってきまーす」と
叫んで女の子が
飛び出してきた…
立ち止まり
見ていた僕と
目が合うなり
家の中に
戻って行った…
玄関から
バタバタと
音がして
女の人を
連れて出てきた…
僕は
挨拶をするために
近寄ろうと
したけれど…
家の中に
入ってしまった…
そのあと
彼女は
野犬が居ると
通報した
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