僕はその男性の

大きな手で
両脇を抱えられ
バスルームに
連れて行かれました。
真っ暗なベンチの下から
急に明るい所に
入ったので眩しくて
目がショボショボしました。
男性は僕に
シャワーをあてながら
何で洗うか悩んでいた。
冷たかった身体が
暖まっていくのを
感じた。
ホッと体の力が抜けた頃
男性は石鹸を泡立て
僕を洗ってくれた。
その作業の間に
少女は、脱衣所で
もうひとり、
家の中にいた女の人に
少し叱られながら
着替えをしていた。
セーラーとかピカチュウ
とかマリオとかシバワンとか…
多分僕の名前を
考えながら…
僕はフカフカのバスタオルに
包まれたまま
広い居間のストーブの前に
降ろされ、身体を拭きながら
「いつからいたんだ❓
          どこの子❓」…と
男性に尋ねられたけど、
身体がジンジンと暖まり
眠たくなり目を閉じたまま
拭いてもらっていました。
何だかいい匂い…
「あまりワンちゃんには
良くないって聞いたような
気がするんだけど
こんなものしか無くて…」
「食べてくれるかな❓」
そっと置かれたお皿の中身は
小さくちぎって、
薄めた牛乳に浸した
温かいパンだった。
僕の眠気は
すぐに吹き飛んだ。
バスタオルから這い出し
フニャフニャの
温かいパンを
一心に食べた。
食べている間、
少女は
「お家で飼いたい‼️」
男性
「どこかで、誰かが
この子を探しているかも
知れないょ」
女性
「詩織だってパパやママと
離れ離れになったら
悲しいでしょ❓」
少女
「見つからなかったらは❓」
男性、女性
「…。」
女性
「あら❓この子お尻に
ハートのぶちがあるょ‼️」
「これは名前もハートで決まりじゃない❓」
男性
「ママ…飼う気満々じゃない❓
少女
「やった~ハート‼️ハート‼️ハート‼️」
…って訳で
僕がふやけたパンを
ストーブの前で
ご馳走になっているうちに
名前も住居も
決まったんだ。
正直、
シバワンとかピカチュウなんて
名前にならなくて
良かったと密かに思った。
僕の家族
パパラブラブ
ママラブラブ
詩織ちゃんドキドキ
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