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その日、僕は

ママと病院に居た。
ママのいらない
トートに入って
寝そうになっていた。
家の中で飼うにあたり
きちんと見てもらって…
この日初めて注射をした
このおじさん
やけに背中の皮を
引っ張るな…と
思ってる間に
終わっていた…
引っ張られている皮に
気をとられ
針を抜かれた感じしか
わからなかった。
体温、検便、耳の中…
グニャグニャになるくらい
触られた…
異常なし…
虫下しをもらって
終了。
帰りはママと
三丁離れた家まで
歩いた。
途中、詩織ちゃんが
幼稚園のバスから
降りてきた。
ママ
「ハート頑張って注射したんだょ」
「詩織みたいに
泣いたりしなかったから
ハートの方が、
お兄ちゃんみたいだったょ」
ちょっと不満そうな詩織ちゃん
「詩織だって泣かないで
お注射出来るも❗️」
ママ
「それは楽しみだわ」
「泣かないで、
ママによじ登らずに
出来たら
詩織が
おねえちゃんで
間違いないね~」
詩織ちゃんは
ママから
無言でリードを
奪い取り
ママより
前を僕と歩いた…
風が吹くと
若葉の緑の匂いが
した…
幸せな
初めての春だった。
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